左上から、チョップドミートソースパスタw、バターもオリーブオイルも使わないシンプルメンタイパスタ、 ウニ塩漬けパスタ、納豆パスタ。 上記やお得意のツナスパ以外にも、りょうはこれまで様々なパスタをいい加減に開発してきたが(笑)、 スタンダードなパスタでは、ペペロンチーネが一番好きだ。 しかし、である。 うなるほど好きなわけではない。 実際食べてみると、なんかどっか味が足りない気がするのだ。 だからこそごま油使ってシーチキンやら刻み海苔やらのっけたりいろいろやってるわけだが、 せっかく完成度の高いこの料理、ごま油使って和風にするとかでなく、 普通にオリーブオイルを使って自分が満足するように改良したいと思った。 つまり、ツナスパや納豆パスタのように、これまで作った「和風」ペペロンチーネではなく、 「日本人向け」のペペロンチーネである。 いきなり化学の話になってしまうわけだが、 味の嗜好に関して一般に(単に美味しんぼによると)、アジアはグルタミン酸の旨み、 欧米はイノシン酸の旨みと言われる。 グルタミン酸とは、野菜や醤油などに含まれている旨み成分、 イノシン酸は主に肉類に含まれている旨み成分だ。 ところが、このイノシン酸、動物肉類よりもむしろ魚肉に多く含まれる。 例えば煮干は、牛肉のおよそ8倍、豚肉の7倍のイノシン酸を含み、 アジやサンマも牛肉豚肉の倍ほどのイノシン酸を含んでいる。 あと、日本でダシと言えばまず出てくるカツオ節、 単純比較は出来ないかもしれないが、肉の4~5倍のイノシン酸を含んでいる、 イノシン酸のダシとしては最強である。 だから、欧米がイノシン酸嗜好というのは、単なる間違いのようだ。 一方、グルタミン酸を多く含む代表的な食材は、味の素であるw つーかあれはグルタミン酸100%であるが化学調味料だから置いといて、 自然な食べ物で最もグルタミン酸を豊富に含んでいるのは、昆布だ。 んで、昆布。 これって、日本人以外食べない。 外国では、シーウィーズ(海の雑草)と呼ぶらしい。 この昆布のグルタミン酸含有量は、 主に野菜の旨みと言われるグルタミン酸の中で最もグルタミン酸を最も多く含む野菜、トマトのおよそ16倍、 もう圧倒的キング・オブ・ザ・グルタミン酸である。 もうひとつの旨み成分として知られるのは、グアニル酸である。 これは、シイタケの旨み成分として知られているが、 グリアル酸を最も含む食材は乾燥シイタケ、次いでマツタケだ。 こいつらも、日本人以外食べるというのは、聞いたことがない。 つまり、である。 日本人とは、グルタミン酸が好きな民族なのではなく、 イノシン酸含め、旨み成分が強いものばかりを食っている、旨み大好き民族なのである。 昆布、煮干、乾燥シイタケ、各旨み成分が最も強烈に入っている品は、 海外では全く食べられていない(中国はシイタケ食べるっけ?)日本独自の食品であることが、 何よりもそれを雄弁に物語る。 で、旨み成分は相乗効果があり、俗に言われるのは、グルタミン酸10に対してイノシン酸1で、 人はとても美味しく感じるという。 だからこそ、イノシン酸の旨みが強い食材を多々持っている和食は、 その10倍のグルタミン酸を求めて、一見グルタミンまみれ(笑)な傾向を持つのだろう。 化学合成のグルタミン酸、味の素が日本で生まれるのは、ある意味当然の話だったのだ。 そんな前提で考えてみる。 日本の料理方法は主に醤油で味をつけ、カツオ節でダシをとる、というもんだろう。 次いで、昆布ダシ。 ところでこの醤油、グルタミン酸含有量は1.5%ほど、100g中何mgとかというレベルでなく、 1500mg、とんでもないグルタミン酸の塊である。 つまり、グルタミン酸最強調味料で味付けし、イノシン酸最強ダシによって旨みを付与しているのが、和食の基本だ。 和食の基本的な味の構成は、見事にグルタミン&イノシンのアンサンブルだったわけである。 しかも前述の話からすると、いかにもグルタミン10にイノシン1という雰囲気だ(笑)。 これに、場合によってはグルタミン酸最強ダシである昆布ダシを加えるわけだ。 これだけでも、和食が海外と比較してものすげえ旨みが強い味付けになっているのは間違いない。 ということで、日本人がいかに強い旨みを日常的に味わっている民俗かよくわかるであろう。 余談だが、納豆を混ぜるとねばねばしてくるの、あれもグルタミン酸の塊らしい。 一時期納豆のタレに「昆布ダシ」の奴があって、買ったことがあるが、全然うまくなかった。 そりゃそうだ、カツオダシと比較して昆布ダシじゃあ、相乗効果は生まれない。 だから、普通納豆のタレはたいていカツオだしなのは当然のことだ。 とまあ、どこまで脱線していくかわからない文章構成だが、 ここでペペロンチーネの成分を考えてみる。 パスタ=小麦、これはグルタミン酸の旨みである。 しかしそんなに豊富に含んでいるつーわけではない。 ニンニク、これは成分はアイリンとかビタミンB1とかだが、旨み成分としてはグルタミン酸である。 しかしこれも、他の食材に比べて豊富、というわけではない。 つーことで、このペペロンチーネという食い物には、たいしたグルタミン酸はなく、 さらにはイノシン酸の旨みは皆無なのだ。 りょうが「何か足りない」と思っていたのは、イノシン酸とグルタミン酸の相乗効果がなく、 加えて全体的にグルタミン酸の旨み成分も物足りないからだろう。 ふと、イタリアンはグルタミン酸の強そうな料理であることに気づく。。 考えてみれば、イタリア人はトマトソースを良く使うが、これもグルタミン酸。 あと、イタリアンでは比較的チーズをよく使うように思うが、これは昆布に次ぐグルタミン酸食品、 ここだけ見てると、イタリア人の旨み嗜好は、まるで巷で言われるアジアだ。 こう考えればよくわかる。 イタリア人も日本人と並んで魚肉をよく食べる。 魚肉には、ほかの肉よりも多くのイノシン酸を含んでいる。 ということは、その10倍のグルタミン酸を求めると、 主に動物の肉を多く食べる民族と比較してどうしても他の食材がグルタミン酸に寄る。 だから、日本とイタリアは、その基本が他国よりも強いグルタミン酸嗜好なんではないのか? しかし、そのベースが昆布、醤油、シイタケなどイタリアよりも圧倒的に旨みが強い食材を食べてきた日本人、 おそらくイタリア人よりもはるかに、旨みに対して強い要求を持っているのは明らかだ。 だから、ペペロンチーネを改良するとすれば、ポイントは明らかなのである。 まず、ペペロンチーネに存在しない旨み成分、イノシン酸系食品を加えればいいのだ。 つまり、肉。 と同時に、全体的に日本人の嗜好を考えて旨み成分を強くする。 そういう、イノシン酸とグルタミン酸のアンサンブルを実現した上で、 オリジナルよりもより強い旨みを持つ味にすればいいわけだ。 んで、まずイノシン酸の素、肉。 うちにある肉で使えそうなのは、ベーコンと伊藤ハムしっとり柔らかチャーシュー。 ベーコンはいかにもありがち、伊藤ハムのは、チャーシューというよりハムのような肉。 この写真はチャーシューだが、「つけ麺」の教訓により、なるだけ麺と同様の細さに切る。 ついでに、イノシン酸の参入によってとりあえず10倍必要なはずのグルタミン酸補給のために、 肉類によく合うタマネギを1/8。 これによって、小麦、ニンニク、タマネギのグルタミン酸に対して、豚肉のイノシン酸が1:10位にになるだろう(超適当)。 最近ニンニクスライスがハナマサで売ってないので、仕方なくニンニク微塵切り。 前と違って、ちゃんと塩抜きしている。 塩漬けの場合、その方が明らかに美味しくなる。 ここで最近購入した、この茶漉しの大きいような奴。すごく便利だ。 味噌を濾す道具よりは小さく、さらに器にひっかかるように出来ている。 後は、普通のペペロンチーネの具が増えただけの作り方だ。 中火より少し弱いくらいの火力で、ニンニクが香ばしくなるくらいに見える?ように炒める。 んで、出来上がり。 まさに日本人が必須とするグルタミンベースイノシンアクセントな旨み構成、 しかもオリジナルのペペロンチーネよりも圧倒的に旨み成分が多い。 レシピとしてはとても平凡な構成であるが、 その論理的なバックボーンは、圧倒的に科学的かつ合理的なのだヽ( `Д´)ノ もう10回以上つくっているが、何回つくっても、ベーコンよりもチャーシューの方が美味しい。 りょう本人ですらカルボナーラ等に使われるベーコンの方が美味しいような気がしていたのに、 これは実に驚くべき事実である(ー_ー;)。 これについては、未だはっきりとは解明できていない謎であるのだが、 現在最も有力な仮説としては、ベーコンは脂身が多くて、結果イノシン酸が足りないというものだ? いずれにせよ、本来ペペロンチーネという食べ物は、イタリア人にとって、 日本人における「もりそば」のようなもんなんじゃないか。 つまり、炭水化物の美味しさをストレートに味わうために、あえてストレート&シンプルな味付けなんじゃないかと。 でも、日本の料理は、刺身を始めとして、まさに素材のよさを味わう料理のオンパレード。 わざわざ小麦の美味しさを味わう必要は、ないだろう。 だからこそ、ペペロンチーネが本来持つ旨み成分に、日本人が欲する旨み成分を足すことで、 日本人の嗜好によく合うペペロンチーネが開発?出来たように思う。 現実に、この料理、マジですげえうまい。 1キロ200円を切るパスタ、タイ産の安いタマネギ、塩漬けのニンニク、 ハナマサで1キロ800円弱で売ってるオリーブオイル、買ってもう1年は経ってるタカの爪で作ってるとは思えない、 もっと言えば原価おそらく60円以下とは思えない美味しさなのだ。 逆に、りょうも随分いろんな店で、いじくり回したペペロンチーネ食べたことがあるが、 たいてい素のペペロンチーネよりもうまくない。 それはおそらく、イノシン酸とグルタミン酸の構成において、深い考察もなく思いつきで食材を選んでいるからだろう。 まあ、りょうが食べたくらいだから、たいした店じゃないがね。
by ryouchanxp
| 2006-06-09 15:03
| 料理
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