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新しいハンバーグを創る

子供の頃好きだったもの。

デパートの食堂とかでよく母親に向かって叫んでいた。

「カレーライス!」
「スパゲッティーミートソース!」
「ハンバーグ!」

こんなありがちなガキなのであった。
その後小学校高学年になると、寿司やステーキが好きになったわけだが。
そして、ファミレスのハンバーグがあまりに不味いので、
ハンバーグはそんなに好きじゃなくなった。

高校3年生くらいの頃だっただろうか、当時父親が大阪に単身赴任していて、
尋ねて家族で大阪に行ったとき、
父親が社用で使う高級ステーキ店におそらく会社の交際接待費で(笑)連れて行ってくれた。
で、キタ(梅田)にあるその店で、りょうは人生で初めてステーキをお代わりしたww
サーロイン食ってあまりに美味かったので、ヒレをお代わり。

そして、既に2枚もステーキを食っている状態で、
母親が、ハンバーグ(母親はステーキでなくハンバーグを注文した)があまりに美味いというので、
ちょっと分けてもらった。

へ?へへへ????何なのこのハンバーグ。
食べたことが無いほど、すさまじく美味い。
根本的に、ハンバーグと違う。
それは、ファミレスのハンバーグとかと違うというだけでなく、ちゃんと作ったハンバーグとも違うのだ。
結局りょうは、その日ステーキ2枚に加えてハンバーグを追加注文、
サーロイン、フィレ、ハンバーグと、基地外のように食べたのであった。
さすがは、交際接待費!

店主が出てきて家族とお話。
あまりに美味しいハンバーグについて当然質問が出る。
「うちはひき肉使ってないんですよ、チョップドミート使ってるんです」
要は、ステーキに使うようないい肉を、包丁で細かく切って使っているらしい。
あと、つなぎ(パン粉)を少なくとかタマネギを多いとか少ないとか言っていたが忘れた。
ともかく、その時、りょうの頭に「チョップドミート」なる概念が叩き込まれたのであった。

こんな異常に長い前振りしてアホのようだが、
先日、ハナマサに行った。
スーパーで牛肉って、外国産であってもどんな部位であっても、グラム300円以下ではまず売っていない。
ところが、ハナマサはさすがだ。
オーストラリア産の牛小間切れグラム110円!
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思わず何も考えずに、1キロ以上もあるこのパックを買ってしまった(笑)。
さて、買ったはいいがどうしよう、と思って、
まずは市販の「叙々苑の焼肉のタレ」でとりあえず焼肉にしてみたのだが、
これが、なんかとても臭いの。
ものすごく牛臭い。
それに、筋張っている。
だから、あんま美味くない(ー_ー;)
さすがグラム110円の肉だ。
もともと香辛料は肉の臭み消しだったそうだが、なんかよくわかる。
最近の肉は、技術革新で改良されたんだろう、もともと牛肉って、きっと臭いのだ。
(ー_ー;)ウーン、この肉なんとかうまく食えないだろうか。。。

そこで、上記「チョップドミート」を思い出したのだ。
そもそも、ファミレスを始めとして、美味しいハンバーグって、なかなか食べられない。
そんじゃあ、こいつを使ったチョップドミートで、自分で創ってみよう、と。
漢字をわざと変えてます。

まず、チョップドミート。
包丁で薄切り牛肉を細かく切る。
こいつが、けっこう大変w
筋のところが、えらい切れにくい。
新しいハンバーグを創る_e0094270_571419.jpg新しいハンバーグを創る_e0094270_575463.jpg
で、こいつをもとに、ハンバーグを作ろうというわけなんだが。

ハンバーグは、本来、ひき肉にパン粉と野菜(つーかタマネギ)と、あと牛乳とか玉子とか、
場合によっては生クリームとか入れる。
で、塩コショウとナツメグを使う。
そもそも、肉は牛と豚の合びきを使う。
何でだ???
マクドナルドは、100%ビーフだw
牛には牛の、豚には豚のよさがある。
混ぜてどーする。
つーか、何で乳製品や玉子が出てくるの。
ここで、思ったのだ。

そもそもハンバーグって、ドイツはハンブルグ地方の人が、
北方民族?タタール人の食い物、タルタルステーキを焼いたのが起源らしい。
で、タルタルステーキにしろ、ハンバーグにしろ、
固くて食べれないような状態の肉を食うための工夫なんだそうだ。
特にハンバーグの起源の肉は、基本的に、対象は干し肉の類らしい。
要は、最低の屑肉を食う工夫なんだろう。
グラム110円とはいえ、現代社会で温度管理されたフレッシュな?牛肉を食べれる現代に、
それは適しているのか?
そもそも、材料である牛乳、玉子、タマネギ、胡椒、ナツメグ、全部臭い消しじゃないか!
つまり、肉の臭みに対する万全なシフトとも言えなくない材料なのだ。
よほど臭い肉を食う対策だったのか、と考えてしまう。

それじゃ、(グラム110円よりも)臭くて固くて耐え難い肉を何とか食う工夫が、今必要なのか。
そして、パン粉は必要なのか?
肉に牛乳と玉子?そりゃ、肉の味なんか塗りつぶされる。
考えてみれば、ハンバーグって、大人が食べる食べ物じゃない。
それは、肉の楽しみ方として、致命的に足りないものがあるからじゃないか。
例えば、ステーキはシンプルに塩コショウでも食べられるが、
野菜だの玉子だの、こんなに手をかけたハンバーグは、まず塩コショウでは食えない。
たいてい、ハンバーグはソースで食うものなのだ。
そりゃそうだ、きっとこれらは、肉の個性、つまり昔なら臭み、今なら旨みを殺す処方だからだ。
だからこそ、ハンバーグは子供の食べ物なんじゃないのか。
つまり、徹底的にクセをなくした肉、という意味で。
ということで、チョップドミートを使うだけでなく、レシピを大幅に変更してみるわけだ。
原点に返り、肉と他の食材を混ぜて焼く肉料理を作ってみよう、と思う。
ハンバーグであるかどうかはおいといて。

まず、合びきは使わない。
まあ、そもそも1キロ買った牛肉を使うためにやってるわけなので、使うわけはないのだが、
それ以前に、合びきを使うのは、おそらく牛だけだと高いからなんだろう。
グラム110円(しつこい)と、豚肉並みの値段で手に入れた牛肉には不要な話だ。
そうじゃなきゃ、何で牛と豚を混ぜる必要があるのだろう。
単にカサを増す以外に。
どんな本やレシピ見ても、合びきを使うことを当然の如く書いてあるのだが、
どんな必要があるのかと小一時間問い詰めたい。
で、理由があるというなら、何でマクドナルドはビーフ100%だと威張るのか教えてほしい。
それ以上に、合びきにはりょう的に重大な問題があるのだ。
豚肉が入ることによって、しっかりと火を通す必要が出てくる。
これが、りょうにとっては牛肉関連食材を食べるのにおいて、耐え難いものなのだ。
牛肉のステーキで美味いのは、レア。当然である。

次に、余計なものは入れない。
玉子?牛乳?生クリーム?いらねーいらねー。
前述のとおり、明らかに現代の肉には不要、むしろ有害な食材だ。
パン粉は、糊の役目なんだろうから残すが、レシピの半分程度に抑える。
そして、タマネギは入れる。
タマネギには、そもそも肉の臭みを消す効果のほか、肉をやわらかく仕上げる効果がある。
これは、合理的なので採用する。
シャンピリアンステーキの例もあるとおり、牛肉とタマネギは、合うのだ。
ということで、チョップドミートとパン粉とタマネギだけで、ハンバーグを作ることにした。

1人前として、牛肉100グラムをみじん切りにして、新しいハンバーグを創る_e0094270_7301139.jpg
炒めた1/4のみじん切りのタマネギと新しいハンバーグを創る_e0094270_5473083.jpg新しいハンバーグを創る_e0094270_5474772.jpg
大さじ1杯のパン粉と混ぜる。
ちなみに上記タマネギ炒めの写真は、4人前つっくった時のものw
タマネギは標準的なレシピと同量だが、パン粉は半分にした。
で、塩コショウ、ナツメグを入れて(これは知識不足なので従来型を踏襲)手でこねこね。
ねばりが出るまでこねて、丸めるとこんな感じ。新しいハンバーグを創る_e0094270_5451427.jpg
まあ見かけは普通のハンバーグと変わらないわけだ。
しかし、こいつを焼いて、新しいハンバーグを創る_e0094270_552018.jpg
最近買ったフーレクのデミグラスソースをかけて食べると。新しいハンバーグを創る_e0094270_553176.jpg
世にも不思議な食べ物が出現した。

それは、当然普通のハンバーグや、ファミレスや市販の不味いハンバーグとは違う、
しかし一方あの高校生の時食べた劇的に美味しいハンバーグでもない、
全く別の、食べ物。
ナイフで切ろうとすると、崩壊するので、箸でいただく。
レアに焼いた?ので、中身はこんな感じ。新しいハンバーグを創る_e0094270_555647.jpg
溢れる肉汁と、ひき肉とは異なり明らかに感じる「肉」の食感。
ジューシー極まりない中身と、固く焼けて香ばしい外側のアンサンブル。
う、美味いよ。
明らかに肉料理だよ、ハンバーグと違って。
ハンバーグだと思って食べると、とんでもない食べ物だ。中ナマだし。
でも、あの肉の味も肉の食感もしない食べ物、
ひき肉で作ったハンバーグとは全く違う、
肉の味を強く感じられる、
そしてとても柔らかい肉料理の完成なのだ。
これは、自分で言うのもナンだが、明らかに新しい料理だ。
つーか、すげーうまい。
これなら、りょう的には東京で外食で唯一許せるハンバーグ料理、
つばめグリルのハンバーグを超えるものだ。
全く違うもんだから、比較すんのは間違いだが。
で、りょうは最初100グラムの肉でつくったこの料理を、
次は4人前400グラムで4枚つくって、チルド室で保存した。
4枚とももう食べたが、やはりとても美味かった。
つーことで、あまり上等とは言えないグラム110円の肉1.1キロの半分弱はハンバーグ?として、
大変美味しく食べられたたわけだ。

まあ、りょうみたいに新しいもんに全く抵抗ない人間も稀だから、
普通の人においてこいつが本当に美味しいかどうかは別として、
りょうは、ハンバーグという料理が、誕生以来ほとんどレシピの検討もされずに、
惰性的につくられてきた気がしてならないのだ。
合びき、玉子、牛乳。
誰も「何で必要なんだ?」って思わなかったのか?

仕事でも料理(レシピ)でも、
きっとそんなものが、世の中には沢山あるのだろう。
原点に返ってみると、そんなものが明らかになるように思う。
ちょっと説教臭くてスマソ。

BGM:稲垣潤一アルバム「P.S.抱きしめたい。」
名盤です。
by ryouchanxp | 2006-04-18 06:10 | 料理
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